バックパッカー幸福論


最近、歩りえこさんの、ブラを捨てて旅にでよう、と言う本を読みました。
簡単に言うと、二年間かけて、女一人旅、世界一周の日記です。
テンポよく、コミカルに書いてあるのでスラスラ読めて面白いです。

ここまでではないけど、自分もいわゆる、バックパッキングのような事はするので、
わかる話が多々あります。
この手の旅は辛いことの方が多い、それでも行きたくなるという事。

シンガポールにもバックパッカーはたくさん見かけます。
英語が通じること、治安がいいこと。東南アジアの玄関口であること。
観光資源に乏しくても、メリットがある街なのです。

そして、最近ふと思う。バックパッカーは殆ど白人。
その景色が当たり前だったので気にしたことがなかったのですが、
今まで、100人以上のバックパッカー、もしくはそれに近い人にあってきましたが、
ほとんどが、ドイツ、フランスをはじめとする、西欧人又は北欧人。
ついで、日本人、韓国人、アメリカ人といったところだ。

一年前、ジンバブエで象乗りをしたとき、象使いのおっさんに言われた事がある。


「お前の国はいいよな豊かで」


ブラック企業を退社したての俺はすぐ言い返した。


「そうでもない、毎日十何時間も働いてんだ、日本は経済は豊かかもしれないが、
自殺率は世界トップクラス。心が満たされてるわけじゃないと」


でもおっさんが言った。


「でもお前は、はるか遠くのアフリカを旅してるじゃないか。
俺たちは、毎日生きるのに必死なんだ」と。



何も言い返せなかった。
事実だ。



バックパッカー

安宿に泊まって、食事も自分でつくったりして、
お金をかけない、旅人達である。

自分を含む、彼彼女たちは貧乏旅行とはいえ、
自分の国に戻れば、決して貧乏なわけではない。

日々生死の狭間で生活しているわけではない。

いわば好き好んで貧乏旅行をしている。

2泊3日で高級リゾートホテルで最高のおもてなしにお金をかけるのでなく、
9拍10日で少しでも長く旅をする、要は予算の使い方がちがうだけ。


旅に出るのは経済面で貧乏なわけでなくて、精神面が貧乏だからと言ったところか。
まさに先進国である。

バックパッカーなら、旅人なら、たぶんみんなそう思ってるし気づいている。


でも、旅行業を携わる者として、
バックパッカーが実はより豊かで恵まれているとおもうのが、パスポートである。



パスポートはいわば、世界共通の身分証明書。
外国へいく際の入国パスだ。


そして、我々日本人が持つパスポート。これこそが、富の象徴と言える気がする。
当たり前のように手にしているので、その素晴らしさを噛み締めることはないが、
日本のパスポートは信頼と安心の日本産ブランドの結晶である。


さっきの、バックパッカーの欧米人や日韓人。そう、先進国人。

世界でもっとも人口の多い、中国人やインド人のバッパーに俺はあったことがない。
あって、中華系アメリカ人。(その場合はアメリカパスポート)

それはなぜか、先進国人のパスポートはほとんどビザがいらない。
ビザとは、外国へ行くときに必要な、申請許可証といったところでしょう。
申請して、許可がおりれば、晴れて許可証明書(ビザ)がとれる。

就労や学生の長期間でなければ、かなりの国でノービザでは入れる。
ビザの有無は国同士の外交事情できまる。
もちろん、日本人なので、基本日本事情しかほとんど知らないが、
おそらく、先進国人がビザなしで行ける国を多数抱えているのは想像に難なくない。


実際に中国籍のパスポートはアメリカもフランスも、マレーシアも、シンガポールも観光するのにビザがいる。
アライバルで空港でその場でぴゃっと取れるわけでもない。


ちゃんと何週間、何ヵ月も前に申請してお金払って許可してもらわないと入れないのだ。
それが、たった2,3日の旅行であってもだ。
日本人の感覚で言ううと新鮮にみえてしまう。
マイナーな聞き慣れない国であれば、何となくわかるのだが。

同じヨーロピアンで、
世界各国をバックパッキングをしている東欧人にあったことがないのは、経済面とパスポートのブランド力であろう。


そうなると、バックパッキングは、いわば先進国人の遊びであり、最先端の豊な文化とも言える。


でも、生活に不自由をしていなくても、心が満たされず、自ら貧しい旅にでる。
まさにないものねだりである。


幸せってなんだろう

なんか卒論が書けそうなテーマである。